轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「ありがとうぞんじまする」微かにいってまた、
「西洞院の並木までゆけば輦もあり、供もいるはずでございますから……おことばに甘えて」
「お気づかいなさるな」牛車はすでにゆるぎ出した。範宴は、なにか空想に囚われていたらしく、牛車が廻りだしたのに驚いたかのような容子をした。そして、それに添って歩みだした。
しかし、姫のいう並木まで来ても、姫の従者は誰もいなかった。ただ一輛の蒔絵輦が、路ばたの流れの中へ片方の軌を落して傾いでいた。
「誰も見えんわ。女性、お住居はいずこでおわすか、ことのついでにご門前まで送ってとらせようと師の房が仰せられる。いず方の姫君か、教えられい」覚明が、車のうちへいうと、
「月輪禅閤の息女です」と、かすかに裡でいう。
「えっ」驚いたのは、覚明や性善坊ばかりではない、範宴も意外であったように、
「では、あなたは、月輪殿のご息女……するとあの玉日姫でいらっしゃるか」
「はい」だいぶ落着いたらしく、はっきりと姫は答えた。
「やはり……仏天のおさしずじゃった……道に迷うたのも、吾々が師の房をさがし求めて行きあわせたのも……。なんと、ふしぎじゃないか」性善坊は覚明と顔を見あわせて、そういった。