轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
七
「ひどく悪口をいうではないか」人々は提婆に対してむしろ反感をもった。そんな顔つきに関わず提婆は笑いやまず厚い唇をひるがえしていった。
「でも、あまりに諸賢が、愚かしき噂を信じているから、その幼稚なのに愍笑をもらしたのだ」
「では、範宴は一体、なにを大願として、そんな必死の行に籠っているのか」
「知れているじゃないか。恋だ! 範宴だって人間だよ、隠し女があるのだ!」
「えッ、女があるって」人々は大胆な放言に眼をみはった。
七
意外そうな顔をする人々の迂遠さを提婆はあわれむように薄く笑って、
「眼を、君たちは、持っているのかいないのか。お互いに人間だ、叡山だって、人間の住んでいる社会だ。してみれば、若いくせに、聖めかしている奴が、実はいちばん食わせ者だということが分るはずだ。自体、範宴という人物を、俺は元からそう高く買っていない――」人々は、提婆の鋭い観察に黙って聞き入っていた。提婆は自分の才舌に酔っているように喋舌りつづけた。
「考えてみろ。まだ彼奴は今年でやっと二十九歳の青沙弥じゃないか。その青二才で、一院の門跡となり、少僧都となり、やれ秀才の駿馬の、はなはだしきは菩薩の再来だとかいって、ちやほやいう奴があるが、それが皆、あの男のためには毒になっているのだ。