轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
がらっと鳴る水音は、絶えず足もとを脅かすのである。尋有はともすると見失いそうな先の影に、喘ぎをつづけていた。
草鞋の緒でも切れたのではないか。範宴は浄土寺の聚落あたりで、辻堂の縁にしばらく休んでいた。禅林寺の鐘の音が、吠える風の中で二更を告げた。
「この道を? ……いったいどこへ行こうとなさるのか」いよいよ、兄の心が尋有には謎だった。粟田山の麓から、長い雑木林の道がつづく。水をもった落葉を踏んで飽かずに歩むと、やがて、黒い町の屋根が見え、三条磧の水明りが眼の前にあった。
河はもうこの一降りで水量を増していた。濁流が瀬の石に白い泡を噛んでいる。五条まで下がれば橋はあるが、範宴は浅瀬を見まわしてそこを渡渉て行こうとする。
「あ、あぶない」尋有は、自分の危険をわすれて、河の中ほどまで進んだ兄の姿に気をとられていた。法衣のすそを高くからげても、飛沫は腰までかかるのだった。それに、この水の冷たさはどうだろう。尋有は歯をかみしばって、一歩一歩、河底の石を足の爪先で探りながら歩いた。
と――砂利でも掘ったような深い底へ、尋有は足を踏み入れた。あっ――と思った時はもう迅い水が喉首を切って流れていた。