轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
松落葉のうえを、音もなく歩いてくる女性は、ほかに避ける道もないので、彼の法衣のそばを、そっと、摺れちがって行こうとするのである。
が――女は、やや姿態を曲げてわざとのようにその時被衣を横にして顔をかくして通った。で、綽空も、
(どこかで見たような?)と思いつつ、ことばをかけずに行き過ぎてしまった。
十歩ほどあるいてから振向くと被衣の女も、ちらとこなたを見て足ばやに行ってしまった。ふところから小鳥でも逃がしたように、綽空は心をひかれて、その影が、白河の河原の低い蔭になってしまうまで佇んで見送っていた。
三
――なぜあの時よびとめて、名だけでも訊いてみなかったか。
綽空は、草庵をとざして、夜の孤寂に入ってからも、瞑想の澄心を、それのみに結ばれてしまうことを、どうしようもなかった。
ほとほとと外を軽く打つ者がある。また悪戯な林の獣どもかと、しばらくすてておくと、
「庵の主はお留守か」明らかにそういう。
「――燈火の影を見うけて立ち寄ったものでおざる。苦しゅうなくば宿をおかしくださるまいか。決して、怪しい者などではありません」綽空は起って、
「旅のお方か」
「されば」