轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
で、召使たちは、よけいに心を傷めて、病室にこの過失を知らすまいと努めたのであったが、ひとつ館のうちの出来事ではあるし、そこへ呼ばれてきた侍女の素振りにも不審が見えたので、母である彼女が覚らないはずはなかった。
「十八公麿のすがたが見えぬとて、そう、噪ぎたてることはない」侍女のことばを窘めて、彼女は、静かに良人の枕元を離れた。彼女もまた、それを知るとすぐ、病人の心づかいを惧れたからであった。廊下へ出て、
「まさか、築地をこえて、館の外へ走り出はすまい。池の中の渡殿を見てか?」
「はい、あそこも、探したようでございます」
「池の亀を、面白がって、よう汀で遊んでいることもあるが、よも、水へ落ちたような様子はないでしょうね」
「そんなことは……」侍女も、落着かない、そして自信のないことばつきで、答えるのである。
「穿物を、だしてください」沈着に、静かなことばで、そういうのであったが、さすがに心のうちでは胸が痛いほど案じられているらしい。廊下の階に立って、侍女が、穿物をもってくるまも、もどかしげにその眉が見えた。すると、
「姉君、どちらへ?」前栽の木蔭から、誰か、そういって、近づいてくる者が見える。