轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
「房のお方! 房のお方! わたくしは吉水の者です、上人のお弟子の端につらなる実性と申す者です。はやくここをお開けください、お救いください。わたくしは今、殺されかかっております」ことばに連れて、戸を打つ音も激しくなった。
性善坊か、覚明が、すぐ起きて行って、そこを開けてやったらしい。がたがたと、なにか表のほうに物音がつづいて、急に草庵のうちに一度消された灯りがまた点っていた。
「裏方さま」性善坊の声である。
玉日は、声のするほうへ、眼をみはって、
「はい」といった。
「まだ御寝なさいませぬか」
「ええ、起きておりました」
「おそれ入りますが、私と覚明とでは、計らいかねることが起りましたので、ちょっと、お立ち出でを願われますまいか」
「なにが起りましたか」玉日が、持仏堂を立って行った縁には、性善坊が、紙燭を持って、かがまっているのである。
「今――なにやら表のほうで、物音がしましたが?」
「されば、困った者が、救うてくれといって、血みどろになって、転げこんできたのでございます」
「えっ、血みどろの人が」
「おそらく、裏方さまには、ご承知もない者でございましょうが、吉水の端におる者で、実性と申しますが……」