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しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

五

――罰がなんじゃ。あたらばあたってみるがよい。おぬしら、臆病かぜにふかれて、それしきのことができぬなら、わしが行って、踏みつぶして見せる」と、輦の轅に片足をかけて、ぽんと飛び下りた。

五

七郎は、驚いて、

「まま、待たせられい」だだっ子の寿童丸を、他の家来たちとともに、無理やりに、輦の上へ、抱いて、押し上げようとする。

「嫌だっ、嫌だっ」小暴君は、轅へ、足を突っ張って、家来の頭をぽかぽか打ったり、七郎の顔を爪で引っ掻いた。

「離せっ、こらっ、馬鹿っ」

「お待ち遊ばせ。成田兵衛の若様ともあるものが、さような、泥足になって、人が笑います」

「笑ってもよいわ。わしは、侍の子だ。いちどいったことは、後へ退くのはきらいだ。わしが行って、小賢しの童めの土偶仏を、蹴砕いて見せるのじゃ。罰があたるか、あたらぬか、そち達は、見ておれ」

「さような、つまらぬ真似は、するものではございませぬ」

「何が、つまらぬ」寿童丸は、家来たちの肩と手に支えられながら、足を宙にばたばたさせた。持てあまして、

「それほど、仰っしゃるなら、やむを得ません、七郎が参りましょう」

「行くか」

「主命なれば――」