轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
未明の光
一
(今朝はおわかれぞ――)と、庵のうちには、いっぱいな人が詰めていた。俗の人、沙門の人、官途にある人、遠国から馳せつけた人々など、雑多に宿直していた。その人たちは、時折、上人の居間から念仏が洩れるので、
「垣の外へ聞こえては」と、他聞を惧れて、開いている妻戸やふすまも閉て籠め、
「……もちっと、お低い声音で仰っしゃって下さればよいが」と、ささやいた。
恟々として、官を恐れる気持が、このごろの日常であった。――たった一声、南無とつぶやいただけで、牢獄へ打ちこまれたり、河原へひきすえられて、鞭で打ちすえられている老人などを、毎日のように目撃しているのである。
柴垣の外には、それでなくとも、絶えず獄人を見る眼で、牛頭馬頭のように、槍をひっさげている官の小者たちがここを警戒していて、時折、中へずかずか入ってきて覗きこんだり、つまらぬことを取り上げて威張り散らしたりしているのだった。
「――あまり官を憚らぬようにある。上人が、きょうぞ名残と、一念御唱名なさるお気持はわかるが、つい、禁令をおわすれになって、お唇から高く出てしまうのであろう。誰か、ちょっと、ご注意申しあげてはどうか」