轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
主の会釈をうけると、
「てまえは、北面の兵衛所に詰めておりまする多田蔵人と申す者です」次席の侍も、それに次いで、おごそかに、
「同じく、北面の武士、近藤右衛門尉師高」と名乗った。
三
沈湎として青じろい面に、どこか策士的なふうのある多田蔵人と、北面の侍所に豪の者として聞えのある近藤右衛門尉との訪れは、この二人の組みあわせを考えただけでも、時節がら、漫然たる用向きでないことは想像されるのであった。
まして、深夜。その深夜を冒し、雨を冒して来た客の二人は、二人とも、直垂から袴ごし、太刀の緒まで、片袖ずつ、ぐっしょり濡れて坐っていた。
「時に……」と蔵人は、果たして声をひくめた。
「ちと、折入って、密々にお話し申しとう存ずるが」
「ご心配なく」と範綱はいった。
「――ここへは、許しなくば下僕の者も参りませぬ。見らるる通り塗籠の一間、外にお声のもれることもない」
「うむ……」近藤と、うなずきあわせて、
「ほかではないが、新大納言の君の御発意で、この月十三日ごろ鹿ヶ谷俊寛僧都の庵に、同気の輩がうち集うて、何かと、お談じ申したいとのことであるが、貴公にも、枉げてもご出席あらるるようにとのお伝えでござる。