轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
すると西仏もまた、一緒に腰を上げて、
「おや……誰だろう」麓のほうへ眸をこらしていたが、何か驚いた表情をし、
「石念、あれ見よ」と、指さしていった。
二
「何をです? ……私には何も見えませんが」
「見えるじゃろうが、あれへ来る人影が」
「どこに」
「ふもとの方に。……いやいやそんな方角じゃない。もっと、部落から先の国府へ通う街道のほうに」
「お……」
「わかったろう」
「ほんに」巨きな白樺の幹へ手をかけながら、石念と西仏は、そこの崖からじっと遠い麓の街道を見ていた。
国府の方からうねうねと山や丘や林や耕地を繞って、この小丸山の山ふところへ続いてくる一すじの道に、ぽちと、小さな人影が二つ辿ってくる。
「はて」西仏はいぶかしげに、
「この辺の風俗とは見えぬ。どこの女性であろう」
「都の女子にちがいありません。笠の緋の房、衣の袂、都の女性にしても、町家の女ではございますまい」
「したが、どこへ行くのであろう。この街道の先には、山家ばかりだのに」
「もしや……裏方様の」石念が、西仏の顔を見ていうと、
「わしもそう思うのだ。もしかしたら、師の房のもとへ、都の裏方様からのお便りでもと――」