轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
蛆
一
その覇気へ、彼は、大杯で酒をそそいでいるのだった。彼の血潮と酒とは、燃え合うと、多分な危険のあるものだった。それは家臣もはらはらしていることであったが、主君のことなので、どうにもならないのである。
「聞けっ、玄蕃」語気に癇癖がほとばしっている。こういう癇癖は、戦いがあれば戦場で散じてしまうだろうが、もう世の中は泰平だった。
「はっ……うかがっております」と、重臣の浅倉玄蕃は、この殿のこころの底を充分に知っているだけに――またその良い性格の半面もわかっているだけに――ただ涙ぐましくて、困惑に暗くなるのだった。
「わしはの……」と高綱は唇の乾きを舐めずりしていう。
「……わしはの玄蕃、ただ理由なく欲望を募らせていうのじゃないぞ。天下の将軍家たるものが、そういう態度であっていいものか――また、武門のことばの誓いというものが、そんな不信なものでいいか、正義のためにいうのだ」
「わかっております。――殿のお気持は、玄蕃めも充分に」
「わかっているなら、なぜ意見などするか。――よう昔を考えてみろ、わしのいい条が無理か否か」
「は」
「そもそも――石橋山の合戦だ。あの時わしは、兄三郎盛綱とともに、まだ二十歳にも足らぬ生若い頼朝を助けに馳せ参じた。