轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

さすがに今朝は、大人びて、涙に眼を曇らせながら云った。

他人の子とは思われぬと、常々云っている禅尼なので、頼朝にそう歓ばれると、酬われたここちで、彼女は無性に涙に溺れながら、

「よう仰っしゃった。寔に、そもじのお命は、御仏のお護り、人業ではない。――それにつけ、尼がゆうべも申したよう、仏果をおそれ、菩提に心を染め、行末とも、亡き母者や父御の回向に一生をささげなされよ」

「……はい」

「ゆめ、弓箭の太刀のと、血臭い業は思い絶ち、たとえすすめる者があろうと、耳には入れ給うなよ」

「はい」

「人の口はうるさいもの。二度と憂き縄目などにかかるまいぞ。――伊豆へ下られたら、すぐにもよき導師をたずね、お髪を剃して、この尼が志を無になさらぬようにの……」

「はい」

禅尼は、満足そうに、微笑んで、宗清を顧みた。

「まだ少しは、時刻の猶予があろうか」

「されば、長くは如何かと存じますが、荷駄へ旅行李など積むほどの間は――」

宗清は答えると、気をきかして、その準備にと、先へ出て行った。禅尼は、その後で、頼朝へそっと促した。

「そもじに一目会いたいという者が、あれなる下屋に待っておる。