轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

いつも彼がよく立ち寄る雪之下村の餅などひさぐ媼の店に腰かけて休んでいると、由比ヶ浜のほうから馬を躍らして八幡道へ駈けてゆく二人の若者があった。

「兄者人。兄者人」

後の若者が、先へゆく若者を呼びとめた。そして急に、駒を止めながら、

「餅がある。この家で、餅を売っておりますぞ」

と、軒を指した。

「なんじゃ忠信。子どものように」

兄らしい先の若者は、笑いながら振向いた。忠信と呼ばれた若い武士は、

「ひもじくてなりません。泳いだ後は、餓鬼のように腹がへる。それに汐水をのんだせいか喉も渇いた。――兄者人、休んで行きましょう」

と云いながら、もう鞍からとび降りていた。

七

兄弟のことばには、どこか奥州訛りがある。吉次の耳にはよく聞き分けられた。なつかしくもあり、不審でもある。

「いったい何処の家人?」

と、眼をみはっていた。

由比ヶ浜へ水泳ぎに行った帰りとみえる。兄弟とも漆をひいたような顔色である。何の屈託もないように、餅を喰い、湯をのみ、笑い興じていたが、

「やれ、腹もできた。弟、参ろうか」

と、軒ばの杭につないである駒の手綱を解いて跨りかけた。

「――あ。もし」

吉次は立ち上がって、初めて兄弟へことばをかけた。