轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「したが、あまりにおそい――。こうしてはどうじゃ」
「はい」
「明日か、明後日、まいらば、十八公麿を伴うてござれ。それまでには、官のこと、一切、御印可をいただいておくが」
「では、そう願いましょうか」範綱が、答えて、立ちかけると、
「お父さま」十八公麿が、いう。
「僧正さまの仰せじゃ。帰ろうぞ」
「いいえ」かぶりを振って――
「いつまでも私は、待っていとうござります」
「わからぬ駄々をいうではない、さ……」うながすと、十八公麿は、父が、朗詠する時の節をそのまま真似て、
あすありと
おもうこころの
あだざくら
夜半にあらしの
ふかぬものかは……
愛らしい唇で、童歌のようにうたった。
「おお」慈円僧正は、背を寒くしたように、その声に打たれた。
「よういった。……六条どの、待たねばなるまい、夜が明くるとも」
「はい」ほろりと、範綱はいった。
うれしいのである。この子の才智のひらめきが。同時におそろしい。
こんなに光る珠を、なんで、平家の者が、眼をつけずにおくものか。待とう。
――夜半にあらしのない限りもない。介は、今の童歌の声に、
「ああ、あのお可愛らしいお姿も、今宵かぎりか」と、洟をすすった。