轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
慈円も、関白も、この兄弟は共に和歌の道に長けている。ことに、僧門にあって貴人の血と才分にゆたかな慈円の歌は、当代の名手といわれて、その道の人々から尊敬に値するものという評であった。
座主は、使いを返すと、そこを立って、中堂の表書院へ出て行った。
居間へ呼ばれるなら常のことであるが、表の間に待てとは、何事であろうかと、範宴は、ひろい大書院の中ほどに、小さい法体を、畏まらせて、待っていた。
「近う」と、慈円はいう。
畏る畏る、範宴は、前に出る。
そのすがたを、慈円は、眼の中へ入れてしまいたいように、微笑で見て、
「入壇のことも、まず、済んだの」
「はい」
「うれしいか」
「わかりません」
「苦しいか」
「いいえ」
「無か」
「有です」
「では、どういう気がする」
「この山へ、初めて、生れ出たような……」
「む。……しかし、入壇の戒を授けたからには、おもともすでに、一個の僧として、一山の大徳や碩学と、伍して行かねばならぬ」
「はい……」
「白髪の僧も、十歳の童僧も、仏のおん目からながめれば、ひとしく、同じ御弟子であり、同じ迷路の人間である」
「はい……」
「わが身を、珠とするか、瓦とするか、修行はこれからじゃ。