轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「ありがとう存じます」
「まさか、このまま、お発足のおつもりではございますまいが」
「いや」と、範宴はゆうべから悶えていた眉を苦しげに見せていった。
「……養父の顔も見たし、弟にも会いたしと、昨日は、愚かな思慕に迷って、一途に養父の住居を探しあるきましたが、昨夜、眠ってから静かに反省みて恥かしい気がいたして参りました。そんなことでは、まだほんとの出家とはいわれません。僧正もお心のうちで、いたらぬ奴と、お蔑みであったろうと存じます。いわんや、初歩の修行をやっと踏んで、これから第二歩の遊学に出ようとする途中で、もうそんな心の弛みを起したというのは、われながら口惜しい不束でした。折角のご好意、ありがとうぞんじますが、養父にも弟にも、会わないで立つと心に決めましたから、どうぞ、お引きとり下さいまし」
「さすがは、範宴御房、よう仰せられた。――それでは、その辺りまで、お見送りなと仕ろう」
衛門は、先に立って、青蓮院の長い土塀にそって歩きだした。そして、裏門の方へと二十歩ほど、杉木立の中を行くと、小やかな篠垣に囲まれた草庵があって、朝顔の花が、そこらに、二、三輪濃く咲いていた。