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しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

と彼は長物語りの末に、

「どうしたものでございましょう」と面目ないが、包み隠しもならず、恥をしのんで、打ち明けるのであった。

「なるほど」それで仔細は分ったが、そう聞けば、萱乃の恋もいじらしいものである。それを、男の国助は、ほかにも女があって、かくばかり萱乃を苦しませているのはよろしくない。遊女とかいう国助の一方の情婦をこそ、この際、どれほど、深い仲なのか、正直に聞かしてもらおうではないか。それが、解決の一策というものだと、まず性善坊が、なれない話ながら、相談あいてになってみると、国助のいうには、

「てまえが、遊女屋がよいをいたしたのは、まったくでございますが、決して、浮いた沙汰ではなく、何を隠しましょう、東国を流浪しているうちに、木賊四郎という野盗に誘拐かされて、この宇治の色町へ売られた妹なのでございまする。――けれど、妹が売女だなどという沙汰が、人に知られては外聞もわるし、この萱乃にも、つい初手に打ち明けかねて、近ごろになって、そう申しても、もう信じてもくれないのでございます。けれどてまえは、決して、萱乃が憎いのではございません。どうかして、妹の身代金だけを、兄妹して稼いで抜こうとお互いに慰めていますので、少しでも生活の剰りができれば妹にわたし、妹も幾らでも客にもらえば私に見せて、共々に、月に二度か三度の