轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
――ましてや人間の苦患に対しては絶対な慈悲をもって接しなければならない。仏の御弟子である以上はなおさらのことである。
「どうしたらよいか」範宴は、その夜、眠らずに考えた。
しかし、よい解決は見つからなかった。それは、範宴自身が、仏の御弟子であり、きびしい山門の学生であるから、おのずから法城の道徳だの、行動の自由にしばられて考えるからであった。ふと、彼は、
(もし、ここに、兄弟の母がまだ生きておいでになったら、どうなさるだろうか)と考えた。
するとすぐ、範宴も、決心がついたのであった。
(――自分が母にかわればよい)ということであった。
何といっても、朝麿も自分も、幼少に母を亡っているので、母のあまい愛に飢えていることは事実である。――何ものよりも高い養父の御恩は御恩としても、男性の親にはない母性の肌や、あまえたいものや、おろかなほど優しい愛撫だのに――飢えていたことは事実であろう。
自分にすらそれを時折は感じるのであるから、あの病身な、気の弱い弟は、なおさらであるにちがいない。
そういう永年のさびしさが、青春の処女と、燃えついたのは、人間の生理や心理からいえば、当然である。