轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「どうじゃ範宴、きょうは、わしに尾いてこないか」陽が暖かくて、梅花の薫ばしい日であった。庭さきでも歩うように、慈円はかろく彼にすすめる。
「どちらへお出ましですか」
「五条まで」
「お供いたしましょう」何気なく、範宴は従いて行ったのである。
もとより仰山な輿など好まれる人ではなかった。というて、あまり往来の者に顔をみられたり、礼をされるのもうるさいらしく、慈円は、白絖の法師頭巾をふかくかぶって、汚い木履をぽくぽくと鳴らしてゆくのである。
五条とはいわれたが、何しにとは訊かなかったので、範宴は、師の君はいったいどこへゆくのかと疑っていると、やがて、五条の西洞院までくると、この界隈では第一の構えに見える宏壮な門のうちへ入って行った。
範宴は、はっと思った。
「ここは、月輪関白どのの別荘ではないか」と足をとめて見まわしていると、
「範宴、はようこい」と、慈円はふり向いて、中門のまえから手招きをした。
正面の車寄には、眩ゆいような輦が横についていた。慈円は、そこへはかからずに中門を勝手にあけ、ひろい坪のうちをあるいて東の屋の廻廊へだまって上がってゆく。
(よろしいのでございますか)範宴は訊こうと思ったが、関白どのは、師の君の実兄である。