轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
仏陀も、そうは仰せられん。信心に自信のない僧自身がいうのじゃ。また、僧を金襴の木偶と思うている俗の人々がいうのじゃ。われらには、自分の信心を信ずるがゆえに、さような窮屈なことは厭う。たとえば、いつであったか忘れたが、室の津へ、船を寄せ、旅の一夜を、遊女と共に過ごしたこともある。その折の遊君は、たしか、花漆とかいうて、室の時めいた女性であったが、津に入る船、出る船の浮世のさまを語り、男ごころ女ごころの人情を聴き、また、花漆の問法にも答えてやり、まことによい一夜であったと今も思うが、みじんもそれが僧として罪悪であったとは考えぬ。月は濁池にやどるとも汚れず、心浄ければ、身に塵なしじゃ、そして、娯みなきところにも、娯み得るのが、風流の徳というもの、誹るものには、誹らせておけばよい」
慈円は、筆をとって、はや、想のできた和歌を、さらさらと書いていた。
朝臣たちも、僧正のことばに感じ入って、歌作の三昧にはいり、いつとはなく、そんな話題もわすれてしまったらしい。
ほどよく、範宴は辞して、聖光院へかえった。しかし、きょうの話題は、牛車のうちでも、寝屋のうちでも、妙に胸に蝕い入ってならなかった。