轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「あ、ご無礼いたしました」
「かように広い道を、しかも、人も通らぬに、何で邪魔な所に立っているか、うつけた男じゃ」
「実は、手前はこよい関東の方から、初めて京へ参ったばかりの田舎侍で、道にまようて、ぼんやりと、考えていたもんですから」
「退け退け」
「はい、退きますが、少々ものをおうかがいいたす」と四郎は初めて、二、三歩身をうごかして、一人の公卿侍のそばへ寄って頭を下げ、
「鳥羽へ参るには、どの道をどう参ったらよいでござろうか」何気なく方角を指さして教えていると、四郎は、その侍が胸に革紐でかけている小筥をいきなりムズとつかんで、奪りあげた。
「あっ、何をする!」と叫んだ時は、すでに彼の影は輦から九尺も跳んでこっちを見ながら、
「欲しくば、奪り回せ」と、筥をさしあげて見せびらかした。
供の家の子たちは仰天して、
「おのれ、それには、今日の御所の御宴で、姫君がさるお方からいただいた伽羅の銘木が入っているのじゃ、下人などが手にふれたら、罰があたるぞ、返やせ、返やせ!」
「はははは、ちっとも、罰があたらないからふしぎだ」
「おのれっ」
松明が飛ぶ――
ぱっと火の粉を浴びながら四郎は駈けだした。