轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
吹きとおる風だけが爽やかであった。
(はてな?)不審ないろが誰の面にもあった。しかしことばを洩らす者はなかった。より以上に、師のすがたが胸につまるほどな感謝で待たれていたからである。民部、性善坊、覚明、その以下の順で膝ぶしを固めてじっと控えていた。
(どんなに窶れておいで遊ばすことか)と、その衰え方を誰もが眸にいたましく描いてみるのであった。
奥まった所で扉のあく音が聞え、やがて静かな跫音が近づいてくる、廻廊の蔭にあたって人の来る気配なのであった。――と、そこに、うぐいす色の袈裟をかけて、念珠を携えた背のすぐれた人が立っていた。
「あ。……師の御房」いうまでもなく範宴なのである。ひれ伏した人々はふたたび顔を上げ直して、自分の眼を疑った。なぜならば、骨と皮とのようになっていられるだろうとすら想像していた彼の面は、多少やつれてこそいるが、若い血色に盈ちていたし、何よりは、々として見える双眸の裡に、驚くべき意志の力が、かつて誰も見なかったような希望をかがやかせていたからだった。
円座も敷かずに、範宴は床へじかに坐った。彼もまた、一年ぶりに会った愛弟子たちに対して、なんともいい得ない感情につつまれているらしいのであった。