轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
黒の毛を撫でて、蚤を取っていた山伏は、不意に杖を立てて、
「黒っ、来いっ」と跫を早めた。
石運びだの、大工だの、屋根葺などの住む狭くて汚い裏町を、山伏は、布施を乞うて軒から軒へとあるいて行った。しかし、どこの家にも、近ごろは、念仏の唱えが洩れていて、修験者の経に耳をかす者がなかった。
「――お通り」とどこでもすげなくいわれる。山伏は、舌打をして、
「忌々しいことばかり聞く日だ」と、革嚢の小銭をかぞえて、なにか、油物をじりじり揚げている食べ物売りの裏口をのぞいて、
「飯を食わせんか。俺と、犬に、これだけで――」と、貧しい銭を手にのせて、揚物をしている女にいった。
三
椀に盛った玄米と、胡麻揚をのせた木皿とが、山伏の前に置かれた。
飢えている黒は、山伏の持つ箸へ向って、跳びつきそうに、吠え立てる。
「餓鬼めが、うるさいぞ」揚物を一つ抛ってやると、黒は、尾を振って噛ぶりつく。山伏もまた、がつがつと、飯を掻っ込み初める。
傍らには、彼よりも前に、床几に掛けていた二人の客があって、板を囲んで酒を酌んでいた。これもまた、貧乏そうな法師だったが、その一人がいい機嫌になって、気焔をあげていることには、