轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「あさ殿、お目あけ……」と、もう幼い兄ぶりを示す彼であった。その兄弟のために召抱え入れた乳母が、ある時、
「介どの、介どの」侍従介を、よびたてて、二人して、仏間のふすまの間から、中をのぞき合っていた。
そして、笑いさざめいているので、吉光の前は、自分の居間を出て、
「和子たち、何を見ておりますか?」と、後ろから訊ねた。乳母は、
「まあ、ご覧じませ、あのように、十八公麿さまが、小さいお手へ、数珠をかけて、御像を拝んでおいでなされます。誰も、教えもせぬに、何というしおらしい――」と眼をほそめて告げるのであった。
「ほんに……」と、吉光の前の眸にも、思わず微笑がただよう。
子は、母の鏡であった。黒業も白業も、自分たちのなすことはすぐ映してみせるのである。彼女は、おそろしい気がした。
「お母さま」人々の気配に気づくと、十八公麿はふりかえって、数珠をすてて彼女の膝へすがった。壇のまえに坐って、拝んでいた相には、無邪無心の光があって、仏の再生でもあるように、何か尊いものに心を打たれたが、そうして、母の膝にからみついて、母の乳に戯れた十八公麿の容子は、やはり世間の誰の子とも変りのない子どもであった。