轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
湛空が隙間見た燭は白く冴えていた、氷の部屋のようにそこは冷たい、火の気のあろうはずはない。
彼は、次の間に、凍りついたように坐ったまま、師の心を、さまざまに思いいたわって、上人が眠らぬうちは、自分もこうしていようと決心した。しんしんと草も木も眠っているこの真夜中に、ただ一人でも、師の房の念仏をどこかで魂に受けとっている者があるとすれば、一塊の炭火ほどでも、師の心を温かにしはせまいか――と。湛空は、そう考えたので、
「えへん」次の間に、侍側している御弟子がございます――ということを知らせるつもりで、軽く咳をした。
すると、翌日。いつものように大勢の弟子たちの朝礼を受けに出てきた上人は、常になく不機嫌な顔色をして、いった。
「その辺に湛空はおらぬかの、ちょっと呼んでくだされい」
二
湛空は、その朝、師の御房がお呼びでございますぞ――と同門の者からいわれて、
「はい、ただ今」答えながら、心のうちで、すぐこう思った。
さては昨夜の自分の真心を上人もお酌み下すって、何か、ご機嫌の麗しいおことばでもかかるに違いない――と。
彼はいそいそと、法然の前へ出て行った。そこには随身の他の弟子たちも大勢いて、上人が何で改まって湛空を呼ばれたのかと、まだ解せない面持ちでいたが、湛空はひそかに得意であった。