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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「なるほど、そう数えあげてみると、叡山が、嫉妬するのも無理ではないの」
前関白月輪公が、まず第一に指を折られる。次に、大炊御門左大臣、花山院兼雅、野々宮左大臣、兵部卿基親など、殿上の帰依者だけをかぞえても、十指に余る。
武門の人々では。熊谷直実の蓮生をはじめ、甘糟太郎忠綱、宇都宮頼綱、上野の御家人小四郎隆義、武蔵の住人弥太郎親盛、園田成家、津戸三郎為盛。
また、ことに女性の檀徒はというと、今までの旧教の経典は、とかく女人を悪魔視していたが、念仏門には、女人のためにも、差別なく、救いの扉をひらかれたものとして、鎌倉の将軍家実朝の母の政子が、遥かに、信仰をよせている他、越前三位の妻小宰相、資賢の娘玉琴、信実の伯母人、三条の小川侍従の姫、花園准后の侍女三河の局、伊豆の走り湯の妙真尼など、ここにも旧教に眺められない特色があった。
六
聖人も俗人も、本来、人間の相というものは一つである。いわんや女人、いわんや悪人、なんの差別があろう。むしろ、そういう人々こそ、念仏門は、よろこんで迎え入れ、求法の悩みに答えたい。いかにせば、よくこの先を、人生を、よく往いて生き得るか――共々に考えよう、念じよう。