轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

「おやっ」と、かがやいた。

「介だ!」箭四郎が、突然さけぶと、

「おっ、和子様がっ」於久里は、転ぶように、木戸のうちへ、駈けこんで行った。

「和子様がもどった」

「和子様」

「和子様」館のうちにつたわる狂喜の声が、外まできこえた。

「介ッ。介ッ」箭四郎は、両手をあげて、呼んでいた。十八公麿を背に負って、野をななめに、草を蹴って駈けてきた侍従介の顔には、すこしばかり血がにじんで、水に突っこんだように襟くびにまで汗がながれていた。

「箭四っ。うしろを閉めてくれっ」あえぎ声でいって、築地の中へ飛びこんだ。

箭四郎は、介にいわれた通り、そこを閉めた。西の木戸も、表門のくぐりも、堅く閉めておくようにと介はいいつけながら、奥の庭へ駈けて行った。

「おお」階梯のうえに見えた吉光の前は、介が、十八公麿を下ろすのも待たないで、駈け下りて、わが子を抱きとった。そのまま廻廊の上に戻って抱きしめたまま暫くはうれしいのと緊りつめた心のゆるみで、泣きぬれているのであった。

「和子」やがて、頬ずりの顔を離すと、母は、心のうちとは反対に、すこしきびしい眼をして、

「この母も、叔父様も、どのように案じていたことか。