轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
御法話です」鈴虫にそっと注意されて、彼女は初めて、気がついたらしく、顔を上げたが、その睫毛には、涙のようなものが光っていた。
あの灯・この灯
一
もう暑い夏の陽ざしは、山ふところの樹々にうすずいていた。
蝉の音は、ひぐらしの啼く声にかわっていた。
ひろい御堂の内は、いっぱいの人間のすがたで暗かった――が、それほどな人がいようとも見えないほど、静かであった。
壇に坐して、法然上人は、先刻からおよそ一刻半も法話をつづけている――。その声だけが、しいんとしている衆生のうえに、強く、低く、流るるように、また、訥々として、際限のない底力をもって迫っているのが聞こえているだけであった。
(お弱そうだ、近ごろは――)
(あのお体で、よく、あんな声がな――)と、人々は、話のとぎれるごとに、ほっと息をつきながら、法然のすがたを見入るのであった。
もう彼は七十四歳であった。
誰にも気づくほど、近ごろは、痩せが見えているが、ただ、あの茶いろをした眸だけが、烱々として、相変わらず光っている。そのうえに、繭を植えたような白雪の眉がある。
身には、麻のうす茶の袈裟をかけておられた。