轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
群衆は、取りまいて、
「何じゃ」
「どこの山法師かよ」と囁き合った。
残暑の往来を、牛車が、埃をたてて軋る。貴人の輿が通って行く。
また、清盛入道の飛耳張目――六波羅童と呼んで市人に恐れられている赤い直垂を着た十四、五歳の少年らが、なにか、平相国の悪口でも演じているのではないかと、こましゃくれた眼を、きょろきょろさせ、手に鞭を持って、群れの蔭からのぞいている。
だが、男は、憚らない大声で、自分のシャがれ声に熱し切ると、われを忘れたように、右手の鈴を、宙にあげて、
「清聴っ、清聴っ――」と呶鳴った。
「――沙弥文覚、敬って、路傍の大衆に申す。それ、今世の相を見るに、雲上の月は、絶えまなく政権の争奪と、逸楽の妖雲に戯むれ下天の草々は、野望の武士の弓矢をつつむ。法城は呪詛の炎に焼かれざるはなく、百姓、商人、工匠たちの凡下は、住むべき家にも惑い、飢寒に泣く。――まず、そうした世の中じゃ。――そうした世に生きる人間どもは、必然、功利に溺れ、猜疑深く、骨肉相食み、自己を省みず、利を獲れば身をほろぼし、貧に落つれば、人のみを呪う。富者も餓鬼! 貧者も餓鬼! そして、滔々と、この人の世を濁流にする――」