轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「お気の毒だが、出てもらおう、この山荘を」
「えっ、追い出すのか」
「そうではない、どこか他のまったく人の気づかぬ所へ、そっと、夜陰にでも、移っていただくのだ」
二
希望の光明に燃えて、御所を脱けだした鈴虫の局であった、また松虫の局であった。
――だが、二人がじっと半月も住んでいた狭い部屋は、明りも入らない冷たい部屋だった。
「どうか、髪を剃してくださいませ。髪を剃してしまえば、もう御所へもどれといっても、戻ることはできませぬ」二人は、住蓮と安楽房に、何度もせがむのであった。だが、さすがに、一方はそういう決心もつきかねていた。
「何か、ご用事を、いいつけて下さい。――働きたいのです、どんな辛い水仕事でもしたいのです」これも、彼女たちが、幾度も願うところだったが、
「滅相もない」と、安楽房がいい、
「――もうしばらくは、ここにじっと隠れておらねば」と、住蓮もたしなめた。しかし、日が経つほど、世間はうわさを忘れても、その筋の探索はきびしくなるばかりである。
「いつになったら」と、闇の小鳥のような眼をして鈴虫と松虫は、そこにすくみ合っていた。
「もし……」閉めてある妻戸の境で、人の跫音がとまった。