轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「なんていう下手な弓だ、そんなヘロ矢で人を射落そうなどというのは、量見ちがいだぞ。――それよりはヤイ代官、なぜその矢で、自分の胸を射ないか、てめえの胸のうちには、おれより怪異な魔ものが住んでいるじゃねえか。その魔ものの名を、増長というんだ。よくも、この蜘蛛太と山吹さまに汚名を着せやがったな、その返報は、きっとしてやる、覚えていろ」いうことばのうちに、年景は、二の矢をつがえていた。ぷつんと、弦が高く鳴った。矢はたしかに前よりも正しく飛んだ。――けれど、蜘蛛太はとたんに、ほかの梢へ跳び移っていた。
「出合えっ、家来どもっ、破牢者をとらえろッ」
年景の声に、廓内は跫音にみだれ合った。だが、役所の屋根のうえを、一度、勢いよく躍り駈けてゆく姿が見えただけで、蜘蛛太の影は、どこへ失せたか、それきり幾ら探しても見出すことができなかった。
五
家来や下僕の者を叱咤して、
「蜘蛛めを探せ」と、年景は、庭に出ていた。
屋根へのぼってゆく者がある、床下を竹竿でかき廻している者がある。そこへどこからか、小石が降ってきた。
「――痛いっ」と叫んで、人々はまた、樹の上を仰いだ。鴉の群れがパッと立つ。