轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
あたりの者の寝息をうかがって、彼は這い起きた。
みしりと、棟の梁が軋む。そのかすかな物音にも、彼はギクッと身をすくめるのだった。
(いや……よそう……)われに返って、彼は醜い自身を恥じるよう、ふたたび寝夜具のうちへ身をひそめた。けれど、所詮、それは理性と本能のたたかいを血管のうちでくりかえしているに過ぎなかった。
ずいぶん長い間のそれは苦悶だった。一刻ほどたつと、彼はまた、そうっと自分の体を起して、やどかりが這い出るように、手さぐりで真っ暗な房のうちからどこかへ忍びかけていた。
「……ム……ウムム……」うしろで、念名がこううめいた。石念は白い盗人のような眼をギョッと振向けたが、何事でもなかったのを知ると、こんどは、全身の勇をふるい起すように――しかし針ほどな物音にも心をくばって、一尺か二尺ほどずつ、手さぐりでその部屋の外へ出た。
彼はついに、寝所の外へ出てしまったのだ。もうそこには常の反省も常の石念もなかった。――柱、戸、壁などを撫でまわしながら、廊下をつたわって、一歩一歩、足音をぬすんで行った。その突当りの一間に、鈴野が寝ていた。
三
ふるえていた。