轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
「でも、参ります」
「叱られるぞよ」
「叱られても参ります」
「帰れ」
「こいつ、剛情なやつ」と、弟子僧たちが、止めているのを、振りかえって、慈円僧正は、困り顔をしながらも、苦笑をうかべて、眺めていた。
範宴は、弟子僧たちの間を、くぐり抜けてきて、師の袂をつかまえて、訴えるような眼をした。
三
「お師さま。きのう仰っしゃったおことばは、嘘ですか」慈円は、笑いながら、首を横にふった。範宴はたたみかけて、
「――でも、きのうは、供をゆるすと仰っしゃりながら、今朝は、知らぬ顔して、お山へ立って行こうとなさるではございませんか」
「…………」慈円はまた顔を振った。
「では、どうなんですか」
「忘れたのじゃよ」やむなく、僧正はこういって、範宴をつれてゆくことに、肚をすえてしまったようであった。
しばらく行くと、雪の中に、性善坊が立っていた。彼は、ゆうべからの範宴のすることを知っていたが、自分が生なかことばを挟んでは、かえって、範宴の意志が徹らぬようなことになるであろうと、わざと知らぬ顔をして、先へ廻って待ちもうけていたのである。
範宴の登岳をゆるした以上、当然、性善坊の供をゆるさぬわけにはゆかなかった。