轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
九
九
金を見ると木賃の亭主は、平蜘蛛のように謝り入って、それからは手のひらを返すように、頼みもしない薪を持ってきたり、粥を煮ようの、薬はあるかのと、うるさいほど、親切の安売りをする。
「……現金な奴だ」野武士ていの男は苦笑しながら梢にむかって、
「お女房。ご病人のようすはどうだな、すこしはいいか」
「いつも、ありがとうございまする、おかげ様で、きょうあたりは……」梢は、範宴にむかって、
「お兄さま。この隣のお方には、毎日何くれとなくお世話になっております。お礼を申しあげて下さいませ」といった。
範宴はそういわれぬうちから、なんと礼をいったらよいかと、胸のうちでいっぱいに感謝しているのだった。
世には奇特な人もある、弱肉強食の巷とばかり世間を見るのは偏見であって、こういう隣人があればこそ、修羅火宅のなかにも楽土がある。あえぐことのみ多い生活のうちにも清泉に息づく思いができるというものであろう。
かかる人こそ、仏心を意識しないで仏心を権化している奇特人というべきである。何を職業としている者かありがたい存在といわねばならぬ。
範宴は、両手をつかえて、真ごころから礼を述べ、立て替えてくれた金子は、沙門の身ゆえ、すぐには調達はできないが、両三日うちには必ず持ってきて返済するというと、男は磊落に笑って、