轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「どうした理です、それは」
「わたくしが、花山院の少将様と恋をしているというのではございませんか。誰の悪戯か、私の笄や小扇を、御所の墻の外へ捨てて、それが証拠だなどといい、少将様の恋文とやらを、御老女がひろったなどと……」
「まあ、人の悪い」
「今もさんざん、皆の前で」
「罵られたのですか」
「それなら、云い訳もしますが、ただ針のようにちくちくいっては、私を笑い者にして弄るのです」
二
めずらしいことではない、鈴虫が身をわななかせて訴えるようなことは、松虫も幾たびか経験していることなのである。
しかし、鈴虫は、今日のその口惜しさだけを悲しんだり泣いたりするのではなかった。そういう陰険な悪戯や邪視の中に、毎日を暮していなければならない自分の青春を傷むのであった。
「こんな中に幾年もいるうちには、今に、自分も、あの意地わるな御老女のようなねじけた人間になるんでしょう。そして、自分でもそれを不思議にしないようになるんでしょう。私は、怖ろしいと思います」膝にすがって、そう泣きふるえていう鈴虫のことばは、松虫にも、深刻に考えさせられることだった。
何も、感激のない生活――それだけでも人間は苦しいのに。