轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
九
九
人々は驚き怪しんだ。
その無数の眼につつまれていることも忘れて、四郎は、手放しで泣きじゃくった。
「なんじゃ」
「どうしたのか」そのうちに、誰ともなく、
「あれは、天城四郎とよぶ、強賊だそうな」
「えっ、賊?」
――法話はすでに終っている。暮色につつまれた禅房のむしろは、その混雑と、不審な男のあらわれに、いつまでもがやがやしていたが、やがて一人の法師が来て、泣きじゃくっている四郎の手を取り、宥めながらどこかへ連れて行った。
今までとはまるで違って、しいんとした一室に、短檠の灯だけが、ボッと橙色の小さな光を立てていた。
「ここで、お待ちなされませ」法師がいうと、
「はい」四郎は、顔も上げ得ないで、まだ何か嘆いている。
ほど経て、静かな跫音がしてきた。四郎はうしろの戸があくと、怖じるように隅へ身を退いた。
「オウ、久しぶりのう」先ほど、法話の壇にすがたを見せていた善信であった。
四郎は打ちのめされたように平伏していた。善信はすり寄って、
「お汝、きょうはよう話を聞きにござられたな。……したが、何でそう泣かれるのか、解せぬが」
「善信どの」しがみつくように四郎は訴えた。