轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
九
「箭四郎、箭四郎」供待ちへ、こう呼びたてて、範綱は、あわただしく牛輦の裡へかくれた。そして、揺られゆく途々に、ふとまた、不安なものを感じてきた。法皇のおことばに、もしや表裏があるのではないかという点だった。浄憲法師には浄憲へいうように、また自分には自分に対して下されるように、扱らわれているのではないかという疑念である。
なぜならば、策士にかこまれている法皇御自身がまた、ひとかどの策略家でいらせられるからであった。
九
それ以来、範綱は、病気といって引き籠っていた。
一室に閉じ籠っていても、世間の物音は、ごうごうと、聞えてくる。
(また、山法師の強訴じゃ)
(白山の僧が、神輿をかついで、延暦寺へ押しかけたそうな)
そんな噂は、もう珍らしくもない。政治好きな法皇でさえ、山門政策には手を焼かれて、
(双六の賽と、山法師ばかりは、朕の心のままにならぬ)と、嘆じられたという。
その僧徒たちが、示威運動をやったり、延暦寺の座主が、そのために流されたり、院の政務も、洛内も、騒擾を極めていたので、新大納言一派の暗躍も、五月中は、ついに、法皇へはたらきかける機会がなくて、過ぎてしまった。