轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
八
――範宴さまが、案じておいでになるだろう」後を見まいとするように、登って行く。
中堂のあたりには、夕べの灯がついていた。もう、僧正の勤行も終った時刻である。
使いの返書を、執務の僧にわたして、性善坊は、宿房の方へ、曲がって行った。範宴が佇んでいた。
「帰ったか」
「ただいまもどりました」
「おそかったのう」
「ちと、道に迷いましたので」性善坊は、途中の出来事を話さなかった。範宴にいえば、範宴は、師の僧正の難をおそれてきっと、入壇を拒むだろう。
(だが、困ったものだ)と、彼は一人で案じていた。法燈の山も、なかなかうるさい。暗闘、嫉妬、愛憎、毀誉、人間のもつあらゆる葛藤はここにもある。
八
(そっと、座主のお耳に入れておこうか。――いやいや、座主には、何か、お考えもお覚悟もあって、なされたことに違いはない)性善坊は、思い悩んだ。
朝の厨の用意を、夜のうちにしておいて、ぼんやりと、院の外へ、あるきだした。
水っぽい春の月が、峰よりも低いところに、いくらか、黄いろ味をもって懸かっていた。
「山も山だが、下の巷は、なおさらだろう」
喘ぐ人間社会の息が、月を黄いろくしているように思えた。