轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
五
私情のために、大法を蹂躙らるるとの自白だ」喚き立てると、
「ひかえなされい!」若い座主の面に、初めて、青年らしい血しおが、漲った。
「わしは、範宴の天稟を愛す。わしは、範宴のすぐれた気質を愛す。見よ、彼は将来の法燈を、亡すか、興隆するか、いずれかの人間になろう。叡山人多しといえど誰か、十歳を出たばかりの範宴にすら勝る法師やある。――その才において、その克己において、その聡明において、その強情我慢なことにおいて。……嘘と思わるる方あらば、彼をここへ呼んで、まず、法論を闘わせてみられるがよい。和歌といわば和歌、儒学とあらば儒学、おそらく少納言は否むまい。望みの者は、仰せ出られい」
五
誰も、進んで、応じる者はなかった。――わずか十歳の童僧と、衆人の中で、法論をやって、いい破ったところで、誇りにはならないし、敗れたらざまはない。
そういう打算は、すぐ、誰の胸にもうかぶことだし、御連枝の出で名門の深窓から、青蓮院へ坐ったのみで、世間知らずの若い座主と心であまく見ていた慈円が、白皙な面を、やや紅らめて、きびしい態度に出たので、
(これは……)と少し意外にも思ったことに違いなかった。