轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
女人篇
風水流転
一
許しをうけて、その大蔵の暗闇にはいった範宴は、日も見ず、月も仰がず、一穂の燈し灯をそばにおいて、大部な一切経に眼をさらし始めたのである。
ふつうの人間の精力では五年かかっても到底読みつくせないといわれている一切経を、範宴は五ヵ月ばかりで読破してしまった。おそらく眼で読んだのではあるまい、心で読んだのだ、そして充血して赤く爛れた眼と、陽にあたらないために蝋のように青白くなった顔をもって、大蔵の闇から彼がこの世へ出てきた時には、世は木枯しのふきすさぶ建久七年の真冬になっていた。
女人篇
風水流転
一
暗黒の大蔵の中から光のなかへ、何ものかを自分はつかんで出たと信じた。五ヵ月ぶりで一切経の中から世間へ出た時の範宴のよろこびは、大きな知識と開悟とに満たされて、肋骨のふくらむほどであった。
(もう何ものにも迷うまい)彼は、信念した。
(もう何ものにも挫けまい)彼は足を踏みしめた。
そして心ひそかに、
我れこの世を救わん
の釈尊の信願をもって自分の信願とし、雪の比叡へ三度目にのぼったのである。
仏祖釈迦如来は、大悟の眼をひらいて雪山を下りたという。彼は、新しい知識に信をかためて伝統の法城へ勇躍してのぼってゆく。