轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「生意気な」と、杖を横につかんで彼は起ってきた。逃げるかと思いのほか、琵琶法師は琵琶をかかえて泰然たるものである、撲りそうな人間を前にして、見えない眼でじっと、見ているのである。
「盲目か」弁円がつぶやくと、
「盲目は、お手前のことであろう、わしは、肉眼はつぶれているが心眼は開いている、いやはや、未熟な山伏どのじゃ」と、盲目は薄く笑う。
見ると、この法師も、河原の橋下を、一夜の宿として明かす者らしく、石ころの上に菰を敷き、それへ薄汚い包みや持物を置いて、自分は、水際の石に腰をすえていた。加古川の教信沙弥の成れの果て――かの峰阿弥なのである。
「おれを未熟といったな。どこが、なんで、未熟かっ」
「されば――あなたは役の優婆塞が流れを汲む山伏ではないか」
「そうだ」
「樹下石上はおろかなこと、野獣や毒蛇の中でも平然と眠れるぐらいな修行がなくて、山伏といわれましょうか、峰入りは何のためになさるか、兜巾、戒刀、八ツ目の草鞋は、何のために身につけておらるるのか。琵琶の音に眠れぬなどとはいとおかしや。……思うにおぬしは、何か、腹にわだかまりがあるのじゃろう、はははは」心眼が開いているといったのも決して大言ではないかもしれぬ。