轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
二
「お召しでございましたか」
「む……」法然の眉は霜のようにちと峻厳であった、琥珀のように茶色をおびたいつもの眸がじっと湛空の面を射た。
「――昨夜、この法然が、称名しておる折に、近くの室で、咳ばらいをしたのはおもとでござったの」
「はい、私でございました」
「なにゆえに?」
「は」
「なにゆえに、さようなことをなされたか、申されい」
「…………」湛空は、案に相違した師のきびしい語気に、肩を竦ませたままであったが、
「……されば」と唾をのんで答えた。
「ゆうべは、臥床の中にあっても、爪も凍るかと思う寒さでござりました。その深夜に、ふと上人の御称名の声を聞きまして、勿体なや、あの御齢に――とありがたさにお居間に近づき、四隣は眠り、人はみな知らぬ時刻ではあれど、わたくし一人は、ここにいて聴聞いたしておりまする――侍坐いたしておりまする――さような心持を持って、何気のう咳ばらいをしたのでございまする」法然は、それを聞くと、近ごろにもいつにもめずらしい不機嫌で、声を励ましていった。
「湛空一人のみならず、皆もよう聞き候え。この法然が念仏を申すのは、人に聞かそうためではさらさらない。