轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
そればかりではない――ふッと、水の面に、月の影が浮かび出たように、ふたりのすこし澄んできた胸のうちに、自分でも知らなかった自分のたましいが、うっすら、感じられてきた。
念仏は、彼女たちの唇がいっているのではなかった。――初めのうちは、その唇だけのものだったが、いつのまにか、唇の声は失せて、その胸の奥所にあるたましいが、称えているのだった。
正しい人間のすがた。――今の自分のすがたが、それに近いものになっていることを、松虫も鈴虫も、うすうす感じてきた。
(自分にも、こんな素直な自分があったのかしら?)と、自分を見直すほどに。
理窟や小智恵は、その間、働かなかった。わけもなく人間らしいよろこびと強さが体にわいてくる。
まわりの人々が、われなく、他人なく、称名しているすがたを、初めは、おかしく見ていたが、その安心しぬいている生命の光が、次には、尊く見えてきた。
「――お上人様が」
「お上人様のおはなしじゃ」
あたりの者が、もう、念仏をやめて、正面に身のびをしながら、こう少し騒めき合っても、松虫は、まだ掌を胸につけて、俯向いたまま、称名していた。
「松虫さま。