轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
けれども、そういう気がしてならないのだ。なぜならば、今、女性のあいだで、最も持て囃されている教義は何だと思う」
「法華経かな?」
「法華経も、上流の女性のあいだにはひところ行われたというが、それは極めて小乗的にだ。もっと、はっきりと、今の社会の女の気持をつかんでいる教義があるじゃないか」
「あ。念仏門だ」
「そうれみろ。庶民から上層の女まで、念仏に帰依した女性というものはたいへんな数だ。内裏の女官のうちにも、公卿の家庭にも」
「ムーなるほど」
「おれはそこでふと思いついたのだが、上皇の寵妃が、二人までも、御所を脱け出すなどというのは、容易にできることじゃあない。世間では、当然、恋愛だといっているが、色恋の沙汰なら、二人づれでは走るまい」
「そうもいえる」
「第一、男があって、そこへ走ったものなら、その男の周囲からすぐ知れる。また、死ぬ気なら別だが、さもなければ、御所を脱け出したからとて、満足に添いとげて行かれるものではなし、いくら恋は熱病でも、ありえないことだとおれは考える」
「いや、そうでもないぞ。若い女のことでは」
「まあ、それも疑問があるとしておいてもだ、衛府の役人や、捕吏が、教門のほうへは少しも手を廻していない様子ではないか、それはどうだろう」