轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
火と火
一
誰も、それを怪しみはしなかった。むしろ常々ここへ詣でる人々は、
(こういう薬は)とか、
(手製りの甘い物を)とかいって、何か見舞を携えてきて、病人に上げてくれと置いて行った。その度に、
「住蓮……」
「安楽房……」
二人は、顔を見あわせて、自責にたえない眉を見合った。
「ああいう善良な人たちを、わしとお身は、あざむいているのだ。――仮病とは知らない信者たちは、見ていると、一刻もはやく御病気が癒えますようにと、御本堂で祈念をこめて帰って行きなさる。――あれを見ていると、たまらないほど苦しい」安楽房は、重い息をついて、山荘の奥でうつ向いた。
沈黙していると、二人の胸には、今さら、悔いがのぼってきた。――あの松虫の局と鈴虫の局さえここに匿わなければと。
だが、一日ましに、事情が苦しくなるほど、一日ましに、二人は、あの匿い人をふり捨てる気になれなかった。
「おれたちは、邪道に落ちているぞ――」と、ある時は、住蓮が告白した。
「なぜ」
「ようく自分の胸に手を当てて考えてみることだ、いつの間にか、お身のことは知らないが、わしは鈴虫の局に恋をしているらしい。……鈴虫の局の眼がものをいう。