轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

『いいえ、いいえ……どうぞお慈悲におかまい下さりますな。これ以上、母を泣かせたくはございませぬ』

『だから、呼び戻して、その上、お父上に両人から談じてあげると申すのじゃ』

『それも、無駄でござります』

『ふうム……子息のおん身まで、内蔵助殿には、愛憎がつきたと申されるか』

『…………』

『さだめし、今宵も、華やかな巷で、浮大尽で浮かれているのであろう。よしっ、数右衛門、夜どおしかかってもかまわぬ、これから大石殿をさがしに行こう』

そう云って大胯に立ち去ってゆく二人を主税は止めなかった。当惑と、悲しみとに、紅顔は涙に黒くよごれた。父も母もない家の灯には、何の魅力もなかった。ただ、白々と行く春の寂寥だけがそこにあった。

『……では、お帰りになられたら、内蔵助殿へは、こよい、祐海が見えたと一言お伝えおき下されい。……いずれ詳しく赤穂から書面を以て申しあげる』

祐海もまた、去りかけたが、ふと振り向いて――

『主税どの、霧が降ってきた、風邪をひかぬよう、お家へお入りなされ。……やれやれ、但馬への旅路もお辛かろうが、伏見、祇園通いも楽じゃござるまい。……さても雲水の身などは勿体ない』