轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页
秘客往来
『ははは。そうだっけな』
『気みじかでのう、野馬を駆っとばしたり、棒なぐりは好きだが、気永なことは向かんて、死んだ爺さんも云い居っただ』
『餓鬼の頃と、今たあ、だいぶ違っている筈だが、おっ母には、まだそう見えるけ』
『抑えているだけのこっちゃがな。生れ性は生れ変らぬ限り変るもんでねエ』
『すると、困ったもんだちゅうことになるだな』
『侍奉公の体は、よけい気をつけん事にゃ、なるめえずら。浅野内匠頭がええ手本じゃ』
草履の足痕がつく程、縁の先の大地には、青白い柿の花がいっぱいにこぼれていた。一学は釣竿を納屋の横へ置いて来て、
『おっ母、これは誰のじゃ』
と、腰をおろした側の包みを手に取った。
三、四冊の帳面をくるんだ萠黄唐草の小風呂敷で、結び目に、手古びた矢立が一本差しこんである。
秘客往来
『あの糸屋が忘れて行ったのずら。今、針を買ったで』
『旅商人け』
『そうよ』
『くだらねえこと喋りはしめえな』
『だれがあ』
『おっ母がよ』
『莫迦こけ、だれが云うぞいな。ぬしから口止めされている事あ、村の衆にも、云うたことはねえだ』
家の横の防風林の外を、ちらちらと人影が透いて門の方へ廻って来る。