轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

議論は、源吾の来る前に、すでに内蔵助と何っ方もゆずらずに云い張っていたらしいのである。源吾は、その気持が分っているだけに、困った顔をした。

『では、こうなすっては何うか。――これは大夫へもお願いいたすのであるし、玄渓殿へもお譲歩を願うて、中庸を採っての愚案でござるが』

『伺おう。どういう案じゃ』

『玄渓殿は、京都に停まる』

『そして――』

『かわりに、御子息玄達殿を、江戸表へ下されては』

『……伜をな?』

玄渓は、それでもまだ少し不平らしかったが、内蔵助は、先頃も梅林庵の海首座を通して、ぜひ玄渓も召連れるようにと、再三の懇願をどうにも退けかねていたので、

『源吾、そりゃよい考え、御子息なれば、同行をねがって、復讐の当夜の負傷の手当をお頼みいたそう』

と云った。

玄渓も、そう云われてまで、老躯を押しつける事はできなかった。――では何分と、約束を固めて、

『やれやれ、老いぼれは、売れ残り申した』

と、後は笑い話と酒になる。

内蔵助が、こよいここを訪れたのは、近く、江戸表へ下る用意も、あらかた整ったので、その暇乞いと世話のなりじまいに、最後の用事を玄渓の手からしてもらう為であった。