轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页
『事情の如何にかかわらず、左様な物を盗み出す物騒な女が、御邸内にいても差し閊えないと尊公は云われるのか』
『はて、大声の好きな奴だ。新見、もっと静かにせい――殿のお耳に入ってはよろしくない。さなきだに、若殿も大殿も、恟々として暮して居られる。こんな些細な事で、今日一日、要らざる憂惧をおかけすれば、今日一日の不忠であるぞ』
『尊公のいう事は、あべこべだ』
『貴様の考えが、逆さまなのだ。水かけ論はやめにしよう。置いてわるい小間使なら、そっと宿先へ退げてやればよいではないか』
『どうして、尊公はこの女を左様に庇うのか』
『実は……新見……恥かしいが、おれは前からこの娘に惚れている』
『ふざけるな』
『真面目だ。これが、お邸の内でなければ、おれはとうから何うかしたいくらいに思っている。従っておれは誰よりも、この娘の素行も気性も知っているつもりだ。決して、お家に対して、不忠とか、慾のためとか、そんな大胆な事のできる女ではない。もし、間違ったら、一学が、首にかけても責任は負うから、今日のところは、おれにまかせてくれ』
『よしっ、屹度云われたな』
『ひき受けた。……はははは、女に甘いのは、貴様も同じじゃないか。