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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页
『これできれいさっぱり畳む身代、遠慮してくれても無駄な残し物じゃ。御存分に飲ってくだされ』
だが、今夜の若者は皆慎しかった。ほんのり色に出る程度に、静かな杯を交している。各※(二の字点、1-2-22)の膳部には、勝栗、昆布のほかに、菜と鳥を浮かした吸物椀が乗っていた。弥兵衛老人は、自分もそれへ箸を取りながら、
『これはあの婆が、各※(二の字点、1-2-22)方の門出を祝うて、名を取りねかしと云う心意気じゃそうな。――老人も負けはせぬぞ』
と云って、椀を吸い乾した。
年齢の相違
駕籠も車も止まってしまったかのような大雪の中に、この人々の行動は、世間へ物音も聞かせず、迅く静かに、すべてを、今宵十二月十四日の夕刻までとして、秩序正しく仕果して来たのであった。
――それがわずか、昨日から今日までの間にである。
今十四日、吉良邸で年忘れの茶会が催された事は、もう確実で一点の疑いもない。――石橋を叩いて渡るほど大事の上にも大事を取る内蔵助は、今日になっても、なお、念を入れて、同志の一人に茶入を持たせて、わざと深川高橋の四方庵宗へ使いをやり、
(呉服屋新兵衛の使でござりますが、この茶入のお目鑑を四方庵様へ願って来いと申されましたが)